ExchangeOnline Archiveの容量を自動で追加する

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ExchangeOnlineのPlan2にはインプレースアーカイブという機能があり、メインのメールボックスで優先度の低くなったメールを貯めておくことができます。
(ExchangeOnline Plan1ではインプレースアーカイブの機能はなく、別途ExchangeOnlineArchivingという製品を購入する必要があります)

このインプレースアーカイブの容量は製品紹介のページでは無制限と記載されているのですが、既定で100㎇までの容量制限が設けられており、それ以降は段階的に容量が増えていくような仕組みになっています。
管理者が何もしていない場合は追加の容量は自動で追加されず、100㎇に到達した時点でインプレースアーカイブにメールを追加できなくなってしまいます。

こういった事態を避けるため、ExchangeOnlineには自動で容量を追加する機能が用意されていますので紹介します。

 

メールボックスに対するアーカイブを有効にする

アーカイブ自体についても管理者が設定しない限りは自動で有効にされません。
管理する組織のメールボックスにアーカイブが適用されていない場合、ExchangeOnlineにPowershellで接続し、以下のコマンドでメールボックスに対してアーカイブを有効にします。

 Enable-Mailbox -Identity [対象メールボックス] -Archive 

基本的にはユーザーの作成スクリプト等に上記コマンドを組み込み、必ずアーカイブを利用できるように仕込んでおきます。現時点でユーザーに対してアーカイブを有効化していない場合は以下のようなコマンドで全ユーザーに対してアーカイブを有効化します。

 Get-Mailbox -Filter {ArchiveStatus -Eq "None" -AND RecipientTypeDetails -eq "UserMailbox"} | Enable-Mailbox -Archive 

 

組織全体のアーカイブの自動容量追加を実施する

組織全体に対してアーカイブの自動容量追加を実施したい場合は以下のコマンドを実行します。

 Set-OrganizationConfig -AutoExpandingArchive 

実行後は既存のすべてのメールボックス及び新規作成されるメールボックスに対してアーカイブの自動容量追加が有効になります。

 

メールボックス単位でアーカイブの自動容量追加を実施する

特定のメールボックスに対してのみアーカイブの自動容量追加を実施したい場合は以下のコマンドを実行します。

 Enable-Mailbox -Ientity [対象メールボックス] -AutoExpandingArchive 

こちらは特定のメールボックスのみ自動容量追加が適用され、他のメールボックスや新規作成メールボックスには影響ありません。

 

アーカイブの自動容量追加の条件

自動容量追加はメールボックスの「プライマリ領域」及び「回復可能領域」のどちらかが90GBに達するか、「プライマリ領域」と「回復可能領域」の合計が125GBに達した際に10GB追加されます。
ExchangeOnline Plan1 + ExchangeOnlineArchivingの構成の場合はメールボックスの容量は50GBですので、それぞれ40GB/62.5GBという認識でよさそうです。
※2018/11/19追記: よく考えたらPlan1でもPlan2でもアーカイブ容量は100GBなので関係ありませんでした

 

容量の自動追加は以後10GBずつ段階的に増加されます。また、上記条件に合致してから実際に利用可能な容量が追加されるまで最大で30日かかることに注意しておく必要があります。

これらのアーカイブの自動容量増加についてのMicrosoft公式情報はこちらに置いてあります。

 

手動での容量追加

アーカイブの自動容量追加を実施していない場合、各ユーザーメールボックスで指定されているArchiveWarningQuotaに達した場合にユーザーに対して警告メールが送付され、そのまま特に対応せずArchiveQuotaに達した際に追加でメールのアーカイブを実施することができなくなります。

アーカイブの自動容量追加を実施せずにユーザーメールボックスのアーカイブ容量を追加したい場合、Microsoftに直接申請を出す必要があります。対象メールボックスの設定とアーカイブメールボックスの使用量を添えてOffice365のSupportRequestから申請しましょう。
必要な情報は以下のコマンドで取得できます。

メールボックスの設定

 Get-Mailbox -Identity [対象メールボックス] | Export-Csv -Encoding Defalut -NoTypeInformation -Path [Path-to-CSV] 

アーカイブメールボックスの使用量

 Get-MailboxStatistics -Identity [上記CSV内のArchiveGuid] | Export-Csv -Encoding Default -NoTypeInformation -Path [Path-to-CSV] 

 

アーカイブの設定について

アーカイブ設定を有効化すると、既定で受信から2年たったメールは自動でアーカイブに移動され、アーカイブ領域を圧迫することになります。

アーカイブに関する「保持ポリシー」及び「保持タグ」については別途記事を書いているのでご参照いただければ幸いです。

余談

なんでこんなエントリを書いたかというと私自身がAutoExpandingArchive設定を入れておらずに社内のユーザーから問い合わせを受けて慌てて設定&SRを投げたからです(反省)。
AutoExpandArchiveを一度入れると無効化できないのですが、特に不都合はなさそうなので設定してしまったほうがいいかと思います。

 

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