ExchangeOnlineではユーザーごと50GBのメールボックス容量が割り当てられ、メールボックス容量が枯渇するという事態はオンプレミスのExchangeServerと比較すると幾分か少なくなりました。
※ExchangeOnline Kioskプランはユーザーあたり2GB
ただ、50GBの容量でも容量が枯渇したり、もしくは検索のゴミを省きたいなどの目的で古いメールについては自動で整理したいという要望がある場合、Exchange Onlineのアイテム保持ポリシーの機能を利用することで古いメールを自動で整理することが可能です。
アイテム保持ポリシー
アイテム保持ポリシーはユーザーのメールボックスの中にあるアイテムをトリガとなる日から一定期間が過ぎた際に自動で移動・削除してくれる機能です。
ルールを記載した保持タグを格納し、ユーザーメールボックスに適用することで指定したアイテムの保持が機能します。
保持タグ
アイテムの保持期間とアクション(削除 or アーカイブ)を指定するものです。
作成した保持タグをアイテム保持ポリシーに登録し、メールボックスに適用することでメールボックス内のアイテムはタグに記載された期間の間メールボックス内に保管され、その後削除もしくはアーカイブへ移動することになります。
保持タグの種類
- 既定ポリシータグ
- メールボックス全体に適用され、他のタグが適用されていないすべてのメールに対しての保持期間とアクションを指定します。
- 一つの保持ポリシーに対して一つのタグを指定できます。
- 管理者が作成・指定し、ユーザーは適用されたタグの変更ができません。
- 保持ポリシータグ
- メールボックス作成時に既定で作成される各フォルダ(受信トレイや送信済みアイテム、削除済みアイテムなど)に対して保持期間とアクションを指定します。
- 一つの保持ポリシーに対して複数のタグを指定できます。
- 管理者が作成・指定し、ユーザーは適用されたタグの変更ができません。
- 個人タグ
- 上記の2つのタグ以外でユーザーが保持期間とアクションを指定するために作成されるタグです。
- 一つの保持ポリシーに対して複数のタグを指定できます。
- 管理者が作成・指定し、ユーザーは作成はできませんが適用されるタグを変更することができます。
アイテム保持ポリシー・保持タグの管理(管理者)
- 保持タグの作成・編集
Exchange管理コンソール内の「コンプライアンス管理」→「保持タグ」内で管理します。 - アイテム保持ポリシーの作成・編集
「コンプライアンス管理」→「アイテム保持ポリシー」内で管理します。 - 保持ポリシーの適用
「受信者」→「メールボックス」からユーザーを選択し、「メールボックスの機能」内で管理します。
既定ではDefault MRM Policyが適用されています。
保持タグの適用(ユーザー)
ユーザーはフォルダまたはアイテムを選択してポリシーの割り当てからアイテム保持ポリシー内の個人タグを適用することが可能です。
アイテム保持ポリシー作成・利用シナリオ
管理者は自社内でのメールボックスアイテムについて、社内ポリシー及びユーザーの利便性を考慮したうえで既定ポリシータグと保持ポリシータグの保持期間及びアクションを決め、タグを作成・変更します。
個人タグについても同様に作成しますが、個人タグはユーザーによって保持したい期間・アクションが大きく異なるため、複数のパターンを作成しておきます。特に短期間の保持タグと期間無限の保持タグは作成しておくと便利です。
管理者は作成したタグを一つのポリシーにまとめてユーザーのメールボックスに適用します。全ユーザーに同一ポリシーを配布する場合には既定で作成されている「Default MRM Policy」の登録タグを変更するのが便利です。
ユーザーは特に意識せずとも既定ポリシータグ及び保持ポリシータグによってアイテムが整理されますが、特に保持期間を変更したいアイテムがある場合に保持ポリシーを変更することでアイテムがメールボックスから整理される期間を短縮・もしくは延長することができます。