日本においても新型コロナウイルスのワクチン接種が進み、指定医療機関だけでなく職場・学校でのワクチン接種を行う職域接種が始められることになりました。
厚労省が掲載している職域接種の手引きによると、職域接種を行う企業においての予約管理の手法については各企業に任せられるとのことですので、企業側で予約のシステムを準備する必要があります。
ワクチンの予約をMicrosoft Bookingsを活用して管理を行い、スムーズな接種ができるようなデモ環境を作成したので記載します。
Bookings で新規サービスを作成する
Office365のアプリ一覧からBookingsを起動し、「今すぐ始める」を選ぶと新規の予約予定表を作成できます。
予定表の名前と業種(適当にHealthCareにした)を入力し「続行」を選択すると予定表が作成され、詳細な設定ができるようになります。
担当するスタッフを割り当てる
Microsoft Bookingsは本来B2Cの予約管理(美容院の予約やスポーツジムの予約など)にフォーカスをあてたサービスですので、サービスを提供するスタッフを作成します。
ワクチンの予約接種に当てはめた場合、接種を実施する医師の数だけスタッフを作成します。
スタッフは名前とメールアドレスがあればOffice365テナント上にいる必要はありませんが、存在しないメールアドレスを指定すると予約が正常にできないため、ユーザーを割り当てるか会議室などを作成して代用しました。
サービスを作成する
Microsoft Bookingsでは一つの予定表に複数のサービスを割り当てることができますが、今回はワクチン予約のためだけに利用するためサービスは1つだけ作成します。
既定で存在する「初期コンサルティング」の名称等を変えるか、サービスを追加したうえで既定のサービスを削除します。
サービスの設定内容は場合によってさまざまにカスタムが必要ですが、デモ環境としては以下の設定を実施しました。
- 1回の接種として15分
- 最大重複を3人分 = 担当する医師の数
- 接種の1週間前と3日前に予約者にリマインダーメールを送付
- 予約またはキャンセルは前日(24時間前)までに実施
予約ページを設定する
作成したサービスを予約するためのWebページの設定を行います。
サービスの作成の際も実施した予約時間枠のほか、個人情報収集や検索エンジンに載らない設定もここで実施します。
設定を終え、「保存して公開」を選択するとURLが発行され、予約を実施することができるようになります。
予約の実施
予約の実施は予約サイト上で日時の選択と必要事項の記入をするだけで完了します。
予約が完了すると、予約時に入力したメールアドレスに完了連絡メールが送付されます。
予約のキャンセルや時間枠の変更をメール内の「予定を変更する」のリンクから実施することも可能です。
予約の管理
Microsoft Bookingsの作成者は、ユーザーの連絡先情報や埋まり具合などをBookingsの管理ページで確認することが可能です。
顧客リスト
予約したユーザーの名称やメールアドレス等の情報を確認できます。
新規ユーザーをインポートすることはできますがエクスポートはできません。
予定表
予約の埋まり具合をカレンダー上で閲覧可能です。
今回は無機質なテストアカウントになっていますが、しっかりとユーザーを割り当てた場合何時にだれが担当するのかを確認することができます。
アクティビティ
直近の予約アクティビティをTSVファイルでエクスポートすることが可能です。
アクティビティには予約対象日時や予約ユーザー情報、担当スタッフ情報等が記載されています。
Microsoft Bookings でできなかったこと
今回はかなり簡素に作りましたが、通知メールの内容や予約の入力項目、予約可能時間の設定など多岐にわたってのカスタムが可能です。
ただし、以下のような設定はできないので注意が必要です。
- アクセス制限
- 予約ページはURLを知っていれば誰でもアクセス可能になります。
Office365アカウントを持つ人だけ、という制約は可能です。
- 予約ページはURLを知っていれば誰でもアクセス可能になります。
- 予約確認メールへの添付ファイルの付与
- ワクチンの職域接種には予診票の記入が必要なので添付したかったのでしたが不可能でした。
URLの記載などは可能ですのでオンラインストレージなどで代替することになります。
- ワクチンの職域接種には予診票の記入が必要なので添付したかったのでしたが不可能でした。
- 最低予約間隔の制限
- 同一人物の予約は2週間の間をあけるという制約はできませんでした。
アクティビティログなどを参照して手動で確認することが必要です。
- 同一人物の予約は2週間の間をあけるという制約はできませんでした。
まとめ
Microsoft Bookingsを利用することで30分程度でワクチンの予約サイトを作成することができました。
一部対応不可な項目はありますが、最低限のユーザー情報の取得とモダンなカレンダーでの予約管理を短時間で作成できるため、企業の担当者としては選択肢の一つとなるかと思います。